10歳男児(前兆のない片頭痛に周期性嘔吐症を合併し予防療法が奏効した一例)患者
2026.06.09
1: 10歳、男児
- 主訴: 突発的に起こる周期的な嘔吐、および頭痛
- 既往歴: 気管支喘息、小児科にて「自家中毒(周期性嘔吐症)」の診断歴あり
現病歴
頭痛は月1回程度と頻度は多くないものの、発作時は右側優位の拍動性頭痛を訴える。頭痛発現時は好んで臥床し(日常生活動作の制限)、随伴症状として悪心・嘔吐、ならびに軽度の光過敏・音過敏を伴う。国際頭痛分類(ICHD-3)に基づき、「前兆のない片頭痛」と診断。
また、これとは別に周期的な嘔吐発作(いわゆる自家中毒症状)が突発的に繰り返され、家族を含め日常生活において精神的休まる時間がない状態であった。主にこの周期性嘔吐症のコントロールを目的として当院を受診した。
経過・治療
- 初回〜2回目受診:
片頭痛および周期性嘔吐症(片頭痛に関連する周期性症候群)の共通の病態を考慮し、予防療法を開始。アミトリプチン(トリプタノール 5mg/日)を併用したが、2回目受診時に眠気の副作用を認めたため、アミトリプチンは中止とした。この時点で、自家中毒症状(周期性嘔吐症)はすでに落ち着き始め、悪心はあっても嘔吐に至らないレベルまで改善した。 - 3回目〜4回目受診:
頭痛発作は2回あったが、痛み・悪心ともに軽症化を実感。4回目受診時、運動(試合)の後に頭痛を訴えた。 - 5回目受診:
さらなる発作コントロールと安定化を目指し、予防薬の追加を決定。徐々に増量。頭痛は良好にコントロールされた。 - 6回目受診:
予防薬を4〜5日間飲み忘れた際、自家中毒症状(周期性嘔吐症)の再燃を認めたが、嘔吐に至る手前で留まった(予防薬の有効性を強く示唆)。 - 7回目受診:
3日前、直射日光下の連続した運動により、強度の頭痛(8/10)と悪心が出現。昨日も練習後に中等度の頭痛(4/10)を認めた。この間、随伴症状を伴う頭痛が計4回あり、うち1回は重症であった。また、緑の多い場所を50分間歩行した後に、軽度の頭痛(2/10)を認めた。 - 非薬物療法(水分摂取指導):
初診時より適切な水分摂取を指導。十分な水分を摂取するようになって以降、従来認められていた「運動後に顔面のみが紅潮する(熱がこもる)」という症状が消失し、適切に発汗できるようになり、運動誘発性の頭痛発作の軽減に寄与した。 - 現在の処方:
直近の運動後発作を考慮し、予防薬を増量し、現在経過観察中である。