悪魔の診断名 ――「起立性調節障害」という思考停止

症例報告

悪魔の診断名 ――「起立性調節障害」という思考停止

2026.04.30

朝、起き上がることすらできない子供たちに対し、自律神経機能検査の結果をもって「起立性低血圧」や「体位性頻脈症候群(POTS)」と診断すること自体は、立ちくらみの原因究明としては間違っていません。しかし、問題はその先です。

「朝から一歩も動けない」という深刻な状態は、単なる立ちくらみの範疇を超えています。彼らが訴える倦怠感、頭重感、めまい、腹痛といった多彩な症状は、起立時の血圧変動だけでは到底説明がつきません。

私は、起立性調節障害(OD)と診断されている子供たちの8〜9割は、本質的には「片頭痛」であると考えています。それも、日常生活を破壊するほどの「重症片頭痛」です。もしメトリジンやリズミック、プロプラノロールといった標準的なOD治療を1〜2ヶ月続けても改善しないのであれば、それはほぼ間違いなく慢性片頭痛としての対応が必要です。

事実、私が鹿児島で診療していた際、こうした子供たちに片頭痛の予防療法を行ったところ、わずか1〜2ヶ月で再登校が可能になった例を数多く経験しました。

現在、この疾患は小児科のみならず内科や耳鼻科でも安易に診断されていますが、これは深刻な社会問題です。目の前の症状を近視眼的に捉えるのではなく、「立ちくらみだけで、本当にこれほどまでの寝たきり状態になるのか」を再考すべきです。私自身、幼少期に立ちくらみを経験しましたが、長く座った後や風呂上がりにフラつくことはあっても、朝から寝たきりになるようなことはありませんでした。

「悪魔の診断名」によって、適切な治療の機会を奪われている子供たちがいます。私たちは今一度、その診断の裏に隠れた「真の病態」に目を向けるべきではないでしょうか。

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