その「朝起きられない」は本当に起立性調節障害(OD)ですか? 片頭痛を見逃さないためのチェックポイント
「朝、顔色が悪く起き上がれない」=すべてがOD(起立性調節障害)とは限りません。実は、子どもの「慢性片頭痛」が隠れているケースが非常に多いのです。
1. 起立性調節障害(OD)の正体は「立ちくらみ」
本来、ODの本質は血圧調節の不全による「立ちくらみ」です。
起き上がろうとした瞬間に脳血流が維持できず、顔色が悪くなり、座り込んだり寝込んだりします。この場合、強い吐き気や嘔吐、そして「激しい頭痛」自体は基本的には伴わないはずなのです。リハビリのように背板を上げ、膝を曲げた姿勢をとることで、起き上がりやすくなるのも特徴です。
2. 慢性片頭痛による「朝の停滞」
一方で、片頭痛は単なる「頭の痛み」に留まりません。
最初はズキズキとした痛みでも、慢性化すると「重苦しさ」「ひどい倦怠感」「やる気の喪失」「食欲低下」へと症状が変化します。光や音が煩わしくなり、じっと横になって痛みが過ぎ去るのを待つしかなくなります。これが、子どもが朝から一日中床に就いてしまう本当の理由であることも少なくありません。
3. 「検査数値」の落とし穴:なぜ新起立テストで判別できないのか
ここで重要なのは、「一日中寝込んでいる片頭痛の子が検査を受ければ、自律神経の数値にも異常が出るのは当然」だということです。
体が衰弱していれば、二次的に新起立テストで異常値が出ます。しかし、それは「原因」ではなく「結果」に過ぎません。検査結果だけでODと診断し、根本にある片頭痛の治療を疎かにしては、子どもはいつまでも起き上がれるようにはなりません。
結論:その症状、慢性片頭痛かもしれません
「頭が重い」「体がだるい」「食欲がない」。
もしお子さんにこれらの症状があるなら、それはODではなく「慢性片頭痛」のサインです。正しい診断こそが、回復への第一歩となります。
文責 あきらめない頭痛クリニック 田村正年
脳神経外科専門医
頭痛専門医、指導医
てんかん学会会員
脳神経外科コングレス会員
精神科学会会員