小児片頭痛の一例:日常生活に支障をきたしていたが生活習慣の改善で改善を認めた症例
患者背景
10歳男児。既往歴に特記すべき事項はない。小学2年生(8歳頃)より頭痛を訴え始めた。
現病歴
2024年10月頃から、ほぼ毎日頭痛を訴えるようになった。
頭痛の部位は日によって異なり、右側・左側・頭頂部など痛みの場所が変動する。痛みの性状も多様で、「ズキンズキンと脈打つような痛み」「押し付けられるような痛み」「ピリピリする痛み」「追い立てられるような不快な痛み」などが報告されている。
頭痛により勉強に支障が出ており、寝込むこともあった。
音や光に過敏になり、めまい、全身倦怠感、肩こり、頸部痛、手足のしびれなどの随伴症状も見られていた。
特に朝の起床時から午前中にかけて発症することが多く、市販薬(カロナール、ブルフェン)を内服していたが十分な効果は得られなかった。
複数の脳神経外科を受診し、CT・MRIいずれも異常所見なし。
診断は「片頭痛」「一次性頭痛」とされ、対症療法のみが継続されていた。
運動(体育など)の翌日に頭痛が誘発される傾向もあった。
評価
HIT-6(頭痛による日常生活支障度)は76点と重度の障害レベルを示していた。
診断
臨床的には以下の所見により、
- 前兆のない反復性の片頭痛様症状
- 日常生活への影響
- 発症年齢
- 神経画像での除外所見
より、**「前兆のない片頭痛」および「慢性片頭痛」**と診断した。
治療と経過
2025年2月頃より、予防的治療(薬物+生活指導)を開始。
夏休みに入り、ラジオ体操をきっかけに早起きの生活リズムを整えるようになったところ、患者自身も「すっきり目覚める」と述べ、頭痛が発生しなくなった。
最新のHIT-6は38点まで改善しており、生活の質が大きく向上した。
考察
本症例は、小児期に発症した慢性片頭痛が生活リズムの乱れやストレスによって悪化していたが、生活習慣の見直し(早寝早起き)により顕著な改善を示した稀有な例である。
頭痛に対して薬物療法に偏らず、非薬物的アプローチ(特に生活習慣の整備)も極めて重要であることを再確認させられる症例であった。