10代の女の子の症例

症例報告

10代の女の子の症例

2025.09.02

10代の女の子の症例です。
12歳頃から頭痛が始まり、次第に悪化していきました。近くの病院で約2週間、予防治療を試みましたが効果はなく、当院を受診されました。小児科では「自律神経失調症」、脳神経外科では「片頭痛」と診断されていました。

頭痛は左の後頭部に拍動性の痛みとして出現し、強いときは寝込んでしまうほどです。日常生活への影響を評価すると74点と重度で、吐き気や音・光に敏感になる症状も伴っていました。頭痛のために学校に通えない日が続いており、ご家族と一緒に近隣市街から受診されました。

このような場合、できるだけ早く「予防治療」を開始することが重要です。予防治療とは、頭痛の頻度や強さを減らして、普段の生活を送りやすくするための治療法です。しかし、福岡市内では小児の片頭痛に対する予防治療が十分に整備されていないのが現状です。

「学校に行けない=不登校」と考えられがちですが、このケースでは心の問題ではなく、頭痛そのものが原因です。効果的な予防治療が行われれば、再び学校に通える可能性が高いと考えられます。なお、自律神経の乱れは「原因」ではなく「結果」であることが多く、水分や塩分の摂取を心がけることも大切です。

頭痛が続くと本当に不登校につながってしまう危険があります。予防治療は薬の選択や量の調整によって効果が大きく変わりますので、十分な経験を持つ医師に相談されることが重要です。