小児慢性片頭痛における診断の遅延と心理的バイアスの影響―「学校に行きたくても行けない」患者の声を置き去りにしないために―
2026.01.26
【症例】
10代、中学生(女性)
【主訴】
ほぼ連日の頭痛、不登校、学業遅延への焦燥感
【現病歴】
小学5年生時より気象関連頭痛を自覚。2年前より頭痛が顕著となり、3週間前より連日化。起床時からの激痛により食事摂取不能な日もあり、週1回以上の遅刻・欠席を余儀なくされていた。
【前医(一般小児科)での経過と患者の不満】
1月中旬、近医小児科を受診。起立試験にて「自律神経の軽度乱れ」と診断され、ロキソプロフェンおよび呉茱萸湯が処方された。典型的な拍動性や前兆がないことから「片頭痛ではない」と否定され、再診時には「学校で何かあったのでは?」「無理して行かなくていい」と精神面へのアプローチが主となった。
<患者・保護者の訴え>
「本人は勉強が好きで、学校に行きたいのに頭痛で行けない。それなのに心の問題にすり替えられ、悔しい思いをした。保健室で休んでも治らない、教室で授業を受けたいのだ」と、診断の乖離に対する強い不信感を抱き、当院を受診した。
【当院初診時所見(1月24日)】
- 頭痛の性状: 非拍動性だが中等度〜高度(10/10)。日常生活動作で増悪し、寝込む必要がある。
- 随伴症状: 悪心・嘔吐はないが、光過敏・音過敏を認める。閃輝暗点等の前兆はなし。
- QOL評価: 日常生活支障度(HIT-6)76点と著しく高く、MIBSテスト 9点。
- 画像診断: 頭部CTにて器質的疾患を除外。
【診断および治療】
ICHD-3に基づき、「前兆のない片頭痛」および「慢性片頭痛」と診断。
生理痛に伴う増悪も認められた。支障度が極めて高いため、急性期治療薬の整理とともに、速やかに予防療法(予防薬A)を開始した。