「起立性調節障害」と診断されていた16歳男子。慢性片頭痛の治療で学校生活を取り戻すまで

症例報告

「起立性調節障害」と診断されていた16歳男子。慢性片頭痛の治療で学校生活を取り戻すまで

2026.04.10

【症例:16歳 男性(高校生)】
中学3年生の頃から頭痛に悩み、前医では「起立性調節障害(OD)」との診断で血圧を上げる薬(ミドドリン)を内服していましたが、症状は改善しませんでした。高校1年生の時には頭痛による欠席が年間15日ほどに及び、新学期が始まってからも「朝、頭が痛くて起き上がれない」という深刻な状況で当院を受診されました。

■ 診断のポイント:それは本当に「起立性調節障害」の頭痛ですか?
当院で詳しく問診・検査を行ったところ、以下の特徴が確認されました。

  • 頭痛の性質: 片側がズキズキと激しく痛む(VASスケール 7〜8/10)。
  • 随伴症状: 吐き気・嘔吐、光や音に敏感になる(光過敏・音過敏)。
  • 悪化要因: 日常の動作で痛みが増す、天候や寒暖差の影響を受ける。
  • 生活状況: HIT-6(頭痛による支障度)は74点と非常に高く、日常生活に重大な支障が出ている。

これらの所見から、当院では「起立性調節障害に伴う頭痛」ではなく、「前兆のない片頭痛」および「慢性片頭痛」と診断しました。

■ 専門医からの視点
現在、福岡県内を含め「朝起きられない=起立性調節障害」という診断が広く行われていますが、実際には適切な治療が必要な「片頭痛」が隠れているケースが非常に多いのが実情です。「起立性調節障害に伴う頭痛」という概念で片付けず、正しい診断に基づく治療が必要です。

■ 治療のアプローチと生活指導
本事例では、片頭痛の予防療法を開始するとともに、根本的な生活習慣の改善を指導しました。

  1. 睡眠と食事: 7〜8時間の睡眠確保と、朝食の摂取。
  2. 水分・塩分補給: 水分1.5L、塩分12g以上を目標に摂取(血流維持のため)。
  3. デジタルデトックス: 就寝直前までスマホやPCを見る習慣を改め、ブルーライトの接触を1日2時間以内に制限。

■ 結びに
「朝、起きられない」のは本人の気力の問題ではなく、適切な治療が必要な病気(片頭痛)が原因かもしれません。長引く頭痛や不登校に悩む方は、ぜひ一度専門医にご相談ください

文責 あきらめない頭痛クリニック 田村正年

脳神経外科専門医
頭痛専門医、指導医
てんかん学会会員
脳神経外科コングレス会員
精神科学会会員

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