周期性嘔吐症について

症例報告

周期性嘔吐症について

2025.07.26

周期性嘔吐症候群(CVS)とは

周期性嘔吐症候群(Cyclic Vomiting Syndrome: CVS)は、数時間から数日間続く激しい吐き気・嘔吐・倦怠感を繰り返す疾患です。これらの症状は一定の間隔で周期的に現れ、エピソードの間は症状が完全に消失するのが特徴です。明確な原因は不明ですが、片頭痛との関連や神経系の異常、ミトコンドリア機能の異常などが関与していると考えられています。

発症時期と頻度

CVSは小児に多く、3〜7歳頃に発症することが一般的ですが、成人でも発症することがあります。症状は毎日起こるわけではなく、年に数回から月1〜2回程度の頻度で出現することがあります。


症状の進行段階

CVSの症状は典型的に以下の4つの段階を経て現れます。

  1. 前駆期
     嘔吐の数分〜数時間前から、吐き気・発汗・不快感が出現します。
  2. 嘔吐期
     激しい嘔吐が繰り返され、1時間に数回に及ぶこともあります。脱水症や意識障害を伴う場合もあり、静かな暗所での安静が求められます。
  3. 回復期
     吐き気や嘔吐が次第に治まり、徐々に食事や活動が可能になります。
  4. 寛解期(ウェルフェーズ)
     症状が完全に消失し、通常の生活に戻れます。

その他の症状

  • 腹痛、下痢
  • めまい、倦怠感、頭痛
  • 光や音に対する過敏
  • 微熱、よだれ、喉の渇き
  • 食欲不振、顔色不良
  • 空嘔吐(dry heaving)

原因と誘因

明確な原因は不明ですが、以下の因子が関与している可能性があります。

  • 脳と腸の連携異常(脳腸相関)
  • 自律神経の機能不全
  • 片頭痛との関連(小児での合併が多い)
  • ミトコンドリア機能異常

エピソードの誘因

  • 季節の変わり目(特に秋冬)
  • 特定の食品(チョコレート、チーズ、カフェイン、MSGなど)
  • ストレスや不安、過労
  • 興奮や感情の高ぶり(特に小児)
  • 感染症(月経や乗り物酔いなども含む)

診断と検査

CVSの診断は除外診断が基本です。他の原因を排除したうえで、病歴や症状のパターンから診断されます。

検査

  • 血液・尿検査:代謝異常や臓器障害の有無を確認
  • 画像検査(腹部エコー、頭部MRI、CTなど)
  • 上部消化管シリーズ、胃内容排出検査
  • 上部内視鏡検査

鑑別診断

  • 胃腸炎、GERD、胃潰瘍
  • 膵炎、虫垂炎、腸捻転
  • 代謝異常、尿路閉塞など

治療と管理

治療はエピソードの各段階に応じて異なります。

  1. 前駆期:吐き気止めや胃酸抑制薬、片頭痛治療薬を使用
  2. 嘔吐期:抗不安薬、制吐薬、静脈補液による水分補給
  3. 回復期:徐々に経口摂取を再開(透明な液体→軟食)
  4. 寛解期:再発予防のための薬剤(抗てんかん薬、片頭痛予防薬など)

使用される薬剤

  • トリプタン系薬剤(片頭痛)
  • 制吐薬(例:オンダンセトロン)
  • 抗てんかん薬(例:バルプロ酸など)
  • 補助療法としてのサプリメント(CoQ10、リボフラビン、L-カルニチン)

※サプリメント使用は必ず医師と相談の上で行ってください。


予後と生活の質

CVSは小児期に発症しても、思春期以降に自然寛解する例もありますが、成人になると片頭痛として移行することもあります。重度の場合は生活・学業・仕事への支障が大きく、入院を要することもあります。


予防と生活の工夫

  • トリガーとなる要因を特定し、回避する
  • ストレス・疲労を避ける
  • 睡眠を十分にとる
  • 食品や添加物の制限(医師の指導のもと)
  • 感染症やアレルギーは早期に対応